教区報に掲載されている典礼コーナーから転載しています。
「入信準備期」を豊かな典礼で生かすために(3)
教区報87号より
「清めと照らしの式」
「選びの式」を経て求道者は「入信志願者」となり、四旬節を通して集中的に霊的な準備を受けることになります。教会の歴史の中で四旬節は、もともとその年の復活徹夜祭に入信の秘跡を受ける志願者たちの最後の準備のために設けられたものでした。この期間に行われる養成の主な内容は、主日のミサの中で行われます。その一つはみことばによる導きで、 志願者のいる場合、入信の準備にふさわしいA年の朗読を使うことが出来ます。
四旬節第二主日は、「選びの式」の予備日になっていますが、第三主日から第五主日まで 「清めと照らし」の儀式が準備されています。
「清めと照らし」の儀式は、カトリック儀式書の九十以降に記されています。この式で大切なのは志願者の上に聖霊の恵みを祈る接手です。志願者が人の思いから神の思いへと向かう「回心」は、上からの力を待って初めて可能だからです。この回心は、すべてをゆるし、すべてを抱擁する神のいつくしみの心との出会いによって可能になります。その意味において、「清めと照らし」の儀式を行う時は、A年の福音を使うことがすすめられています。
第三主日には、イエスと出会って神に大切にされている自分に気付き、「この方が、本当に世の救い主であるとわかった・・・」と悟ったサマリアの女のくだりが朗読され、按手を受けて志願者も自分の良さによってではなく、神の良さによって救われる信仰へと導かれます。
第四主日には、「生まれつきの盲人の癒し」が朗読され、世間的な価値観から解放されて、 恐れずにキリストを証しする勇気が示された場面に触れて、志願者も按手を受けて「主よ、信じます」と言える人になる勇気をいただきます。
第五主日は、ラザロのよみがえりの福音が朗読され、志願者もやがてラザロのように、洗礼の水に沈むことによって古い自分に死に、新しい自分に復活するという決定的な救いの恵みを受ける希望に胸を膨らませます。
こうして志願者は、教会共同体と共に、聖なる三日間の典礼へと歩みを進めます。前述のように、四旬節は入信志願者の入信準備のために設けられた期間ですが、聖香油ミサで「司祭の約束の更新」が行われ、復活徹夜祭には「洗礼の約束の更新」が行われることからも明らかのように、入信志願者に同伴するすべての信者の、年ごとの更なる回心への道でもあるのです。
この道は、「入信の秘跡の儀式」を経て、「入信直後の養成」へと続きます。