教区報に掲載されている典礼コーナーから転載しています。
「入信準備期」を豊かな典礼で生かすために(2)
教区報86号より
「入信志願式(選びの式)」
前回は入信の流れの中で、本人が入信の決心をした時に行われる「入門式」を中心に述べました。そこで今回は、伝統的に四旬節第一主日に行われることになっている「入信志願式(選びの式)」の意味と豊かさ、そして具体的な様子について扱ってみます。
求道者が教会を通して神から選ばれたことを宣言する入信への第二の段階を表すこの儀式は、教会共同体の中で、共同体とともに、共同体のために行われます。そこで通常、主日のミサの中で行われます。
しかし入信は、単に小教区共同体へ迎えられるのではなく、より大きな共同体である司教区へ迎え入れられることなので、横浜教区では「合同入信志願式」として、教区内で一番収容人数の多い藤沢教会で、横浜教区長 梅村昌弘司教司式のもとで当日の午後、「みことばの祭儀」のかたちで行われています。種々の事情でその日に儀式を受けられない人のためには、四旬節第二主日が予備日として準備されていますので、その日に各小教区で受けることができます。
「合同入信志願式」が藤沢教会で行われても、この式が小教区共同体の中でも意識されるように、横浜教区では、当日午前中の主日のミサの中で、「司教司式の合同入信志願式に求道者を送る式」という文章が準備されています。その式の中で、求道者が共同体と同じ信仰を持ち、 共同体の一員として生き始めていることが、司式者と共同体を代表する代父母や講座担当者 との問答で確かめられます。この確認はとても大切なものです。まず司式者は「代父母に求道者について質問し、さらに本人にその意思 を尋ね」(カトリック儀式書 22)ます。その上で教会は、「求道者が神から選ばれた者である ことを宣言し、次の復活徹夜祭に入信の秘跡を受けることを承認」(カトリック儀式書 22) します。
教会のこの慎重な態度は、求道者がキリストを選んだのではなく、キリストご自身が求道者を選んだことを示すものです。 式の中で「あなたがわたしを選んだのではない、わたしがあなたを選んだのである」というヨハネ福音書の言葉が会衆皆で声高らかに歌われるのは、実にふさわしいことです。
こうして入信志願者になった人は、四旬節の間「清めと照らしの式」を通して恵みを受けながら、回心の道を更に歩むことになります。