教区報に掲載されている典礼コーナーから転載しています。
「入信準備期」を豊かな典礼で生かすために(1)
教区報85号より
「入信の秘跡」についてはすでに82号で触れましたが、入信への道をもう少し豊かに準備できるようにその内容を述べたいと思います。
『典礼憲章』がその第64項で、「数段階に分けられる成人の入信準備期を復興」するように定め、それを受けて、日本では、1976年にカトリック中央協議会から、「カトリック儀式書『成人のキリスト教入信式』」が出版されました。
数段階に分けられた入信への過程で、入信希望者の養成は、「入門式」、「選びの式(儀式書では洗礼志願式)」、「入信式(洗礼・堅信・聖体)」と、段階的に儀式を経て行われていきます。この過程を「典礼コーナー」では、「入門式」、「選びの式」、「入信式」という、三つの儀式を中心に、三回にわたって扱うことにします。
第一の段階である「入門式」
「入門式」は、友人や知人との出会いをとおして、あるいは、いろいろな思いで教会を訪れ、祈りの会への参加、聖書の学びなどを続けていた人が、入信を決意し、その準備を始めるときに受ける式です。入門式を受ける時期は、本人の決断によって決まります。典礼暦年の中で決まった日があるわけではありません。ただ、入信直前の準備期間である四旬節の間は避けた方がいいでしょう。また、入門式を受けてから復活徹夜祭に入信式を受けるまでの期間は、それまでの準備の進み具合など諸条件が人によって異なりますので、数か月から数年にわたることがあります。
入門式に与る人は、この儀式の中で、キリストの弟子として福音に従って生きたいという決意を表明し、教会の指導を願います。そして、額に十字架のしるしを受けます。この入門式が、教会共同体の集いである主日のミサの中で行われれば、教会共同体が喜びの内に求道者を受け入れる良い場となりましょう。こうして、入門式に与った入信希望者は求道者となります。つまり、単に教会に好意を持つ人から、正式に教会共同体のメンバーとして認められることになります。その意味で、入門式は入信の秘跡の第一段階と言えます。
入門式を受け求道者となった人は、神の恵みと教会共同体の祈りに支えられ、人の思いから神の思いへと向かう回心の道を歩み始めます。教会共同体は求道者と共に感謝の祭儀であるミサや様々な教会活動に参加し、求道者が教会の内部から現実の教会を体験しながら歩めるように支えます。
求道者のこの歩みに、司祭だけではなく、講座担当者、とくに信仰の同伴者となる代親(代父母)も早くから関われるように、司牧担当者の配慮が期待されます。