教区報に掲載されている典礼コーナーから転載しています。
聖歌の奉仕(二)
教区報71号より
前回は「聖歌の奉仕」のうち、聖歌選曲の奉仕について考えました。今回は詩編唱者、聖歌隊、器楽奏者について考えてみましょう。聖歌の奉仕は「詩編と賛歌と霊的な歌によって語り合い、主に向って心からほめ歌いなさい」(エフェソ五・十九)、とあるように、共同体の一員として聖歌を通して共同体に奉仕することだ、ということを心に留めておきたいと思います。
詩編唱者
ミサの中で「ことばの典礼」を通して神のことばを告げる奉仕の大切さについてはすでに「朗読の奉仕」(注1)で触れました。
第一朗読の後、聴いたみことばをしばらく静かに味わい、「神のことばの黙想を助ける」(注2)ために歌われるのが答唱詩編です。答唱詩編は歌うことが勧められており、聖書朗読と同様に大切な神のことばです。その歌い方は、答唱句を、神のことばを聴いた会衆が一緒に歌い、詩編は、一人または二人の詩編唱者が聖書朗読台か、他の適当な場所で歌います。詩編唱者は、詩編の意味を前もって理解し、味わい、上手に歌おうという気持ちではなく、マイクを使うなど、神のことばが会衆に届くように配慮して歌います。会衆は詩編を聴きながら、第一朗読で告げられたみことばを黙想します。ここに、詩編唱者と会衆との対話が行われます。歌唱者は、歌う速さや息継ぎのタイミングをオルガン奏者と事前に打ち合わせておくことが望まれます。また、歌唱者の声がよく聞こえるように、詩編の伴奏はできるだけ弱くします。
聖歌隊・
楽器奏者(オルガン奏者)
聖歌隊や楽器奏者は、典礼の進行に関して、会衆が生き生きと、元気よく聖歌を歌い、ミサに積極的な参加ができるように奉仕します。その意味でとても重要な役割を持っていますので、聖歌隊の代表者は、主日、祭日の祝いを生かすことができるように、小教区の典礼委員会に参加して、一緒に準備をします。
聖歌の奉仕者もミサ中、祈りに集中します。次に歌う聖歌や伴奏などに心を奪われないように留意しましょう。
「十字架礼拝のときの聖歌」、「復活賛歌」、「復活の続唱」など、定められたときに歌う聖歌、または、新しい聖歌を取り入れる場合、聖歌隊は事前によく練習し、会衆の歌が「祈り」になるように、会衆を支え、導くように努めます。この場合、聖歌選曲者との連携が必要になります。
聖歌隊や楽器奏者は、会衆から離れた独立したグループではありません。あくまでも会衆の一部ですので、会衆とともにミサに積極的に参加し、会衆とともに司祭と対話し、聖書と説教を聴くことができるふさわしい場所に席を設けるよう配慮します。
祭日や特別な教会行事の場合に、聖歌隊が歌い、祝いや祭りの雰囲気を盛り上げることはいいことです。ただ、聖歌は典礼的に、会衆が一緒に歌うことが大切であり、そこに大きな意味があることを心に留めておきたいものです。ミサが、聖歌隊のコンサートにならないような配慮が必要です。
オルガンは伝統的にミサ典礼で尊重されている楽器ですが、典礼にふさわしく、ミサへの信者の積極的な参加を促すために役立つならば、他の楽器を用いることも可能です。主任司祭と相談して、共同体の特徴を活かして工夫してください。
ミサへの参加者が多い場合など、会衆の歌を指揮する奉仕者が必要となるとき、その指揮は正確で簡潔であることが求められます。指揮者が司式者より目立つことのないよう配慮が必要です
付則:横浜教区典礼委員会発行の「アレルヤ 主をたたえ歌おう」を参考にしてください。
(教区典礼委員会)
(注1)教区報六十五号「典礼コーナー」
(注2)「ローマ・ミサ典礼書の総則(暫定判)61」