祈りをささげる

教区報に掲載されている典礼コーナーから転載しています。

聖堂の中心である祭壇



典礼を正しく行うために、聖堂には四つの場所が備えられています。パンとぶどう酒の食卓、ことばの食卓、司式者の席、会衆の席です。この四つの場所は互いに調和を保って、一つの全体をなしています。典礼を行う時、一つの場所から他の場所へ移っていくことによって、典礼のそれぞれの行為の意味が明白になります。第二ヴァチカン公会議以前には、すべての行為は同じ場所で行われていました。祭壇から聖書朗読がなされ、司祭は座長の席に着いていませんでした。従って、はっきりしていた場所は、奉仕者がいる内陣(注一)と、信徒のいる場所でした。内陣にある祭壇は、信徒席から聖体拝領台によって区別され、離されていました。
今回の典礼コーナーで、とくに祭壇について考えてみましょう。
聖堂に入ると、まず祭壇が目に付きます。祭壇はキリストのシンボルであり、聖堂の中心です。祭壇は、キリストが再び来られる日まで、御父にたいするキリストの十字架の奉献の継続の場であると同時に、キリストの体と血によってキリスト者が養われる食卓でもあります。
聖ひつが聖堂の中心であると考える人がいますが、そうではありません。聖ひつは、聖体に対する信心を奨励するために、祭儀を行う祭壇から離れた聖なる場所に置くように勧められています。小聖堂に置くことが理想的ですが、残念ながら、日本では小聖堂がほとんどありません。
ミサがささげられる始めと終わりに司式司祭は、祭壇の前に合掌して深く礼をします。また、献香する場合もあります。しかし、ミサ中に聖ひつの前を通っても、表敬はしません。
司式司祭は祭壇に表敬してから座長の席に着き、そこから会衆の祈りを導きます。福音朗読と説教の時を除いて、感謝の祭儀が始まるまでその席に留まり、祭壇には行きません。平日のミサの場合もそうです。
祭壇を聖具机として使用しません。ぶどう酒と水の瓶、聖歌集などを置きません。聖具のために別の机を備える必要があります。またその机を、祭壇のすぐ傍ではなく、離れた場所に置きます。その机は祭壇の延長ではないからです。奉仕者が、離れた机から必要なものを祭壇まで持って来ます。昔は男性でなければ奉仕者になることができませんでしたが、数年前から女性も奉仕ができるようになりましたので、奉仕者のいないミサはもうありえません。司祭が、奉仕者の役割を行うなら、信徒の奉仕を奪うことになります。


教区報第54号より