教区報に掲載されている典礼コーナーから転載しています。
共同祈願
すべての人の救いを願う信者の祈り
「神のことばの食卓」についた私たちは、みことばを聴き、ホミリア(説教)に導かれて味わい、信仰を宣言し、すべての人の救いのために信者の祈りを神にささげます。
共同祈願は主日(と守るべき祝日)のミサ、教会の祈り、主日の集会祭儀の中で行われます。とりわけ聖金曜日の典礼で行われる盛式共同祈願は、「すべての人」が具体的に挙げられる一年のうち最も豊かな共同祈願です。「ローマ・ミサ典礼書の総則」九六は典礼憲章を受けて、四つの意向を示しています。その意向に少し説明を加えましょう。
◯聖なる教会のため
福音の呼びかけに応え、私たちが宣教の使命を果たすために必要なことを考えて祈ります。
◯指導権を託された人々のため
国政に携わる人々が、正しい知識と愛をもって国民に奉仕することができるよう祈ります。
◯種々の必要に迫られている人々のため
世界各地の戦争、紛争、暴力、迫害、独裁などによって引き起こされている難民、貧困、格差、疫病など、また自然災害による苦しみなどの困難に直面している人々と心を合わせ、福音の光に照らして救いを願います。
◯すべての人と全世界の救いのため
「神は、すべての人々が救われて真理を知るようになることを望んでおられ(1テモテ2:4)」ることを思いながら、キリスト者だけでなく、全世界のすべての人の救いのために祈ります。
信者は、祈りが自分のものであることを意識するために立って行います。司式司祭は自席から、信者を祈りへ招きます。続いて先唱者、もしくは朗読者か信徒が意向を、朗読台あるいは他のふさわしい場所から告げます。会衆はそれぞれの意向を心に留め、「聖書と典礼」に記載されている文あるいは一定の言葉で祈ります。そして司式司祭の祈りによって結ばれます。
毎週の「聖書と典礼」には意向の例文が掲載されています。それを使うこともできますが、「信者の祈り」として各共同体で、その日のみことばを受けて、よく考えて自由に意向を表明することが勧められます。意向文作成にあたっては、次のようなことを留意するとよいでしょう。
(ア) 共同祈願は、キリストを通して御父に願う共同体の祈りであるので、文末は「〜ように」と結びます。
(イ) それぞれの意向について、できるだけ簡潔で分かりやすい文でつくります。1つの文に、複数の意向を盛り込むことはしません。
(ウ) 個人的なことやアドバイス、お知らせなどにならないよう気を配ります。
(エ) その日のみことばの中から言葉を選んだり、「教会の祈り」や既に用意されているものを用いることもできます。
みことばを通して語りかける神に応え、キリストの祭司職を生きる私たちは、全教会、人類、国、地域社会、家庭などさまざまな共同体の一員として、その救いのために祈りをささげます。みことばと教会の活動や日常生活をつなぐ「共同祈願」を大切にしたいものです。
(教区典礼委員会)